君の黄色い小鳥/1
大きな家に君は一人で住む。
その姿がいつだって寂しそうに感じるのは、僕の勝手な思い込みなのかなぁ。
ゾロの両親は、旅行先の事故で亡くなった。
山を切り開いて立てられた洋館の広間で、ゾロが初めての留守番にワクワクしていた矢先だった。
両親は国さえも一目置く資産家だったため、両親の死後ゾロには莫大な遺産が遺された。
洋館もその一つだ。
しかし、ゾロはこの春、小学校に通い始めたばかり。
両親が亡くなってから、ゾロの周りは異様なまでのスピードで動き始めた。
ゾロ自身、周りが何をしているのかも分からなかったし、分かる歳でもなかった。
ただ生前の両親に雇われたという弁護士は、遺産はすべてあなたのものなのよと、会うたびに繰り返す。
でも、ゾロにとってはそんなことどうでもよかった。
今はただ、静かにして欲しいと思っていた。
そこからゾロを助けたのは一人の男の登場だった。
金髪の青い目をした男。どう見ても、ゾロと何らかの血縁関係があるとは思えない男。
皆と同じく喪服を着て、ずっとニコニコとゾロに微笑む男。
名前をサンジと言った。
両親を失い、親戚だと名乗る周囲に引き取られる寸でのところを弁護士とサンジに救われた。
両親との思い出の残る家を離れたくないと言うと、サンジは分かったと言い、そのままの家でゾロと暮らすことになっていた。
弁護士や、親戚が何をしていたのかは知らないし、きっと教えてもらっても分からない。
ただ、サンジという男が、これからゾロと家族になるのだと言うこと。
それだけはよく分かった。
でも、どうでもいい。勝手にしてくれて構わないのだ。
だから今は、静かにしていて欲しい。
ゾロはずっとそう思っていた。
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遅くなってしまいましたが、大好きな方の憧れのサイト様、2周年に捧げます。
おめでとうございます。