君の黄色い小鳥/2
僕だったら一人にしないのに。神様にだって誓えるよ。
だから、少しだけ僕の方を見て欲しいんだ。
「ゾロ。朝ごはんできたよ。起きてる?」
名のある芸術家が施したのであろう、装飾された扉をノックする。
返事はなく、まだ寝ているのだろうかと扉の前で佇んでいると、乱暴な音を立てて扉が開いた。
勢いに驚いて手をぶつけてしまう。
水仕事を終えたばかりの冷たい手には、随分とダメージを食らった。
乱暴に扉を開いた本人は、ぶつけた手を押さえて立ち止まっているサンジに、邪魔と一言言い放ち行ってしまった。
服装は整えられ、その背にはランドセルが背負われている。
朝食後、直ぐに出かけるつもりらしい。
その後姿を追い階段を下りると、席についたと同時にゾロは黙々と朝食を口にしていた。
「今日は、ゾロの好きな卵のにしたんだ。おいしい?」
テーブルの向かいの席に腰をかけ、サンジはゾロを覗き込むように聞く。
ゾロはサンジの声など聞こえてないかの様に、無言で朝食を口にしていた。
そんなゾロの様子に、サンジは自分の手元を見て、気付かれないよう溜め息を一つついた。
暫くガチャガチャと食器が暴れる音を聞いていたが、最後にガシャンと大きな音を立ててゾロがフォークを皿の上に投げ捨てた。
その音に驚いて顔を上げると、耳障りな音を立ててゾロが椅子から立ち上がったところだった。
「あ、もう行くの?」
答えず、ゾロは玄関へと歩いていく。サンジは必死に追う。
子どもには少し重いだろうと思わせる扉を、ゾロは一人で開いてしまう。
そのまま、一度も振り返らず、一言も喋らず、扉の外へ出てしまった。
サンジは、扉が閉まりきる前に、いってらっしゃいと言うのが精一杯だった。
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子どもって、何で顔を洗わないのだろう。偏見?
格好いいサンジ以外は嫌という方は、引き返してくださいね。ごめんなさい。