君の黄色い小鳥/3









いつだって僕は君の味方さ。君のことが大好きだから。
君が僕のことを嫌いでも同じなんだ。だって、僕は君が大好きなんだから。








ゾロが学校に行っている間、洗濯や掃除をするのがサンジの仕事だ。
たったそれだけだと思われるかもしれないが、ゾロとサンジの住む家は、たった二人しか居ないのに半端なく広い。
ずっと昔に外国の王様が住んでいたのではないかと思わせる洋館なのだ。
広い庭の手入れはサンジ一人ではできないほどに。
だから庭は、ほぼ放置状態だった。ゴミがあればサンジがそれを拾う。その程度。
洗濯機のスイッチを押して、サンジは手元にある洗いたての洗濯物を外へ運ぶ。
空は晴れていて、風が洗濯物の洗剤の匂いをフワリと掬い上げていた。
パンパンと音を鳴らして、サンジは干していく。
昨日ゾロの着ていたシャツを見て、優しく微笑むのだ。
「私にはやっぱり理解できない。」
背中から聞こえた声に振り向くと、みかん色の毛をした珍しい猫が座っている。
サンジはまた微笑んだ。
「いらっしゃい。ナミさん。」
ナミと呼ばれた猫は、はぁと分かりやすい溜息をついてサンジの足元へ歩み寄った。
「今日だってコテンパンにされたんでしょ?」
サンジ君の変な笑い方見てたら分かるんだから。
笑っていたとは思うが、変だったかと思い、サンジは困った。
そのまま洗濯物を干す作業は続ける。
「何であんなのと一緒にいたいのか分かんない!あー分かんない!!」
「ゾロは優しいんだよ。」
「優しいのに、何でサンジ君のこと無視するのよっ!あいつ、いっつもムスっとしちゃってさ。」
可愛くない子ども!と、ナミはご立腹だ。
洗濯物を干しながら、困ったように笑って話を聞くサンジ。
ゾロへのフォローも一刀両断だった。
「口を開いたと思ったら、『煩い』だの『どっか行け』だの。思い出すだけでも腹立たしい!」
「ナミさん、いつ聞いてるの・・・。」
「あんたが心配で、いつも様子見に来てあげてるんじゃない!」
「あ、ありがとう。」
はぁと、ナミは再び大きな溜息をついた。
サンジはいつもそうだ。少し考えが足りないのだ。
でも、とても優しい。ひたすらに優しい。
だから、あんな子どもにまでもつけ込まれるのだ。
「あのロビンって弁護士も胡散臭いのよ。」
何故素性も知れないサンジをあっさりと受け入れ、あまつさえゾロと同じ屋根の下で暮らせるよう事を進めたのか。
うんうんと唸っていると、洗濯物を干し終えたサンジがお終いと腰に手を当てて空を見上げていた。
大きく深呼吸する。
「ロビンちゃんは優しいよ。」
満面の笑みで言い放ち、遠くで鳴った洗濯完了の音に走って行ってしまった。
やっぱり心配。
ナミは三度目の溜息をつき、洗いたての洗濯物を持って戻ってくるだろうサンジを待った。










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ナミさんはゾロがお嫌い。