時間差心中交響曲 #5
朝だ。
レンジのチンッという音も、フライパンで何かを炒めている音もしないが朝が来た。
無音の中、ゾロはハッキリと目が覚めていた。
珍しい。今日は何か掴めるかもしれない。
朝飯も食べないでゾロは家を出た。
階段に着く前に声を掛けられる。
「ゾロ、今日は早いな。」
ルフィだ。
「よお、どうした?お前こそこんな時間に起きてるとはなぁ。」
ルフィはゾロと同じく、ほぼ昼ごろまで寝ている。
こんな時間に会う事自体が珍しいのだが、1階下に住んでいるはずのルフィと階段を下りる前に出会ったことに疑問を感じた。
「お前、何でこの階に居るんだ?」
「屋上に行ってた。」
屋上。
サンジが死んだ場所だ。
あれから封鎖されていると聞いた。
「何で?」
考えるより先に、ゾロは聞いていた。
何か知っているのか?ルフィ。
「サンジが落ちたのはどの辺かなぁと思った。それだけだ。」
「・・・そうか。」
知るわけないか・・・。
ゾロは、じゃあなと言って階段を下りていく。
ルフィはその様子を、ジッと見ていた。
「サンジは自殺でいいじゃねぇか・・・。」
呟きはゾロに届かない。
朝からサンジの店に入った。
部屋で見つけたサンジの手帳を持ってきた。
店の入り口が見える目立たない席に腰を下ろす。
昨日話を交わした店員が、また来たのかと水を出してくれる。
迷惑かもしれないが、自分は今これしかできないのだ。
店員には曖昧に笑って誤魔化した。
手帳に目を通す。
女。女。女。女。
女の影を探すのだ。
サンジの手帳は実にシンプルなものだった。
ボールペンでバイトの時間やゾロとの約束などが書いてあるだけだ。
手がかりはないのか??
ふと、花火を見ると書かれた前日にロビンと書かれていることに気付く。エンピツで薄く書かれている。
黒髪?背の高い女?
ロビンはゾロとサンジの共通の友人だ。学生の時に世話になった先輩でもある。
ゾロは店を飛び出て、ロビンの携帯に電話した。
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